PENTAX写真生活


by ryua210

堀口大学

まだアルセーヌ・ルパンシリーズを読んでいる。
このシリーズを訳しているのは堀口大学というフランス文学者である。
この人の訳がおかしい。
おかしいというのは、変だという意味でもあり、こっけいだという意味でもある。
ルパンの話す一人称に「わし」という言葉があてられていて、これがどうもふさわしくない場面でも使われる。
「実はわしにもわからないのです・・・」
「・・・あなたとわしはまだ話し合いを始めたばかりですから・・・」
「わしが今事実によって証明した通りですよ」
どうも丁寧語を使う場面や初対面の人と話す場面で「わし」などと言い出すからすごくしっくりこないらしい。
このほかにも、フランス語の難解な言い回しを無理やり日本語にしたとしか思えない訳や、「何たる商売ぞや」とか「シシリアへ来てみませ」とかいうずいぶん古風な言い回しなどが使われていて、なんだか笑える。
外国の小説は訳が変だとたちまち読む気が失せるのだけれど、ルパンシリーズの場合はところどころに現れるユーモラスな部分にこのおかしな訳が妙に合っていて、読んでいるうちに慣れてきた。
あとがきを見てみたら、1960年だった。
これは確かに古い。
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by ryua210 | 2012-01-24 17:09 | 散文